「自分が関わる業界は、どれくらいの会社がなくなっているのか」を知りたくて検索したとき、出てくる数字がバラバラで戸惑った経験はないでしょうか。
「5年で半分が潰れる」「10年で9割が消える」といった話もあれば、公的統計では「年3.7%」という控えめな数字も出てきます。
数字が食い違う理由は、それぞれが別のものを測っているからです。
1年間の断面を見た割合と、創業した企業を何年も追いかけた割合は、そもそも比べられません。
この記事は約9分で読めます。
この記事でわかる5つのこと
- 業界別の廃業率ランキング:全17業種の一覧。最も高いのは4.7%、最も低いのは1.0%で約4.7倍の差がある
- 創業後の生存率:5年後に何%の企業が残っているか。業種別の一覧つき
- 「5年で半分」「10年で9割」の真偽:よく見るこの数字に、公的統計の裏づけがあるのか
- 廃業率と生存率で順位が入れ替わる理由:同じ業種でも、指標を変えると評価が逆になる仕組み
- 数字の正しい読み方:廃業率が高い業界=衰退している業界、とは限らない理由
業界別の廃業率ランキング

| 順位 | 業種 | 年間廃業率 | 年間開業率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 宿泊業,飲食サービス業 | 4.7% | 11.2% |
| 2 | 生活関連サービス業,娯楽業 | 4.4% | 6.2% |
| 3 | 小売業 | 3.7% | 4.2% |
| 4 | 情報通信業 | 3.6% | 5.7% |
| 5 | 学術研究,専門・技術サービス業 | 3.4% | 4.8% |
| 5 | 金融業,保険業 | 3.4% | 2.8% |
| 7 | 建設業 | 3.1% | 4.5% |
| 7 | 不動産業,物品賃貸業 | 3.1% | 5.5% |
| − | 全産業 | 3.1% | 4.4% |
| 9 | サービス業(他に分類されないもの) | 3.0% | 3.8% |
| 10 | 卸売業 | 2.8% | 2.7% |
| 11 | 鉱業,採石業,砂利採取業 | 2.7% | 0.9% |
| 12 | 製造業 | 2.6% | 1.5% |
| 12 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 2.6% | 5.3% |
| 14 | 教育,学習支援業 | 2.5% | 4.7% |
| 15 | 医療,福祉 | 2.3% | 3.9% |
| 15 | 運輸業,郵便業 | 2.3% | 2.9% |
| 17 | 複合サービス事業 | 1.0% | 0.9% |
(出典:2023年版中小企業白書 第2-2-55図「業種別の開廃業率(2021年度)」/中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_2.html)
年間廃業率が最も高いのは「宿泊業,飲食サービス業」の4.7%で、「生活関連サービス業,娯楽業」4.4%、「小売業」3.7%が続きます。
最も低いのは「複合サービス事業」の1.0%で、上位と下位では約4.7倍の開きがあります。
最下位の複合サービス事業は、郵便局や協同組合などが中心の特殊な区分です。
事業所数が少なく新規参入もほとんどないため、この1.0%は事業の安定性とは別の話になります。
上位に並ぶ業種には、次の共通点があります。
廃業率が高い業種に共通する3つの特徴
- 固定費が重い:店舗の賃料や人件費が売上に対して大きく、稼働が落ちると一気に苦しくなる
- 需要の変動を受けやすい:来店数や季節、景気の影響が売上に直結する
- 参入のハードルが低い:必要な資金や資格の要件が比較的軽く、小規模な事業者が多い
日本全体の年間廃業率は3.7%
全産業でみた2024年度の年間廃業率は3.7%でした。
前年度から0.2ポイント低下しています。
同じ年度の年間開業率は3.8%で、こちらは0.1ポイントの低下です。
| 年度 | 年間開業率 | 年間廃業率 |
|---|---|---|
| 2023年度 | 3.9% | 3.9% |
| 2024年度 | 3.8% | 3.7% |
(出典:2026年版中小企業白書 第1-1-38図/中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/chusho/b1_1_7.html)
1年間におよそ100事業所に4事業所が雇用関係を終えた水準です。
これは1年あたりの割合で、創業から何年目かを問わず、長く続いている事業所も母数に含まれます。
年度ごとの上下は景気や制度の影響を受けるため、単年の動きだけで長期の傾向は判断できません。
「閉業率」「廃業率」「倒産率」の違い
検索されることが多い「閉業率」は日常語で、公的統計に同じ名前の指標はありません。
国が公表しているのは「廃業率」です。
「倒産」はさらに意味が狭く、債務の支払いが困難になって事業継続を断念した状態を指します。
廃業には、赤字で行き詰まったケースだけでなく、黒字のまま経営者の判断で事業を終えるケースも含まれます。
廃業と倒産は同じものではありません。
この記事では次の3つの呼び方だけを使います。
| 呼び方 | 測っているもの | 数える単位 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 年間廃業率 | 1年間に雇用関係が消滅した事業所の割合 | 事業所 | 1年度 |
| 年間開業率 | 1年間に雇用関係が新規に成立した事業所の割合 | 事業所 | 1年度 |
| 5年生存率 | 同じ年に開業した企業が5年後に残っている割合 | 企業 | 5年累積 |
単位と期間が違うため、年間廃業率を5倍して5年分の廃業率として扱うことはできません。
休廃業・解散企業の9割超は小規模事業者

休廃業・解散した企業に占める小規模事業者の割合は、一貫して9割を超えています。
これは「小規模事業者の9割が廃業する」という意味ではありません。
廃業した企業を100としたとき、その9割超が小規模事業者だったということです。
「会社がなくなる」場面の大半が、倒産ではなく休廃業・解散だからです。
2025年の休廃業・解散は67,949件、倒産は10,300件で、休廃業・解散は倒産の約6.6倍あります。
| 年 | 休廃業・解散件数 | 倒産件数 |
|---|---|---|
| 2024年 | 約70,000件 | 10,006件 |
| 2025年 | 67,949件 | 10,300件 |
しかも2024年に休廃業・解散した企業のうち、51.1%は黒字でした。
経営者年齢も「70代」「80代以上」の割合が上昇しています。
つまり、廃業は経営の失敗と同義ではありません。
業績の悪化で行き詰まる廃業と、黒字のまま次の担い手が見つからず終える廃業が、同じ数字に混ざっています。
(出典:2026年版中小企業白書 第1-1-39図・第1-1-41図・第1-1-43図/中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/chusho/b1_1_7.html)
(出典:2025年版中小企業白書 第1-1-60図・第1-1-62図・第1-1-63図・第1-1-64図/中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_8.html)
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業界別5年生存率一覧表

2016年に開業した企業のうち、5年後も事業を続けていたのは全体で89.7%でした。
業種別では建設業94.8%から飲食店・宿泊業85.3%まで、約10ポイントの幅があります。
前章までの年間廃業率が「ある1年度に何%の事業所が減ったか」だったのに対し、5年生存率は「同じ年に開業した企業を5年間追いかけて、何%が残ったか」です。
| 業種 | 5年生存率(参考値) | 回答数 |
|---|---|---|
| 建設業 | 94.8% | 343 |
| 個人向けサービス業 | 94.2% | 652 |
| 運輸業 | 93.4% | 106 |
| 卸売業 | 93.3% | 165 |
| 事業所向けサービス業 | 93.0% | 257 |
| 医療、福祉 | 92.8% | 594 |
| 製造業 | 92.4% | 132 |
| 情報通信業 | 92.3% | 91 |
| 全体(実測値) | 89.7% | 3,517 |
| 教育、学習支援業 | 88.2% | 102 |
| 不動産業 | 87.9% | 107 |
| 小売業 | 86.8% | 380 |
| 飲食店、宿泊業 | 85.3% | 563 |
(出典:井上考二「2016年に開業した企業の5年間の動向 ―『新規開業パネル調査(第4コーホート)』結果から―」日本政策金融公庫論集 第54号(2022年2月)表−2・図−1 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun2202_01.pdf)
この調査は「存続」「廃業」「不明」の3区分で、全体は存続89.7%・廃業8.9%・不明1.4%でした。
業種別は廃業率だけが公表されているため、表の生存率は100%から廃業率を引いた参考値で、存続を確認できなかった企業を含むぶん実際はこれより低くなります。
この5年生存率を見るときの3つの注意点
- 対象が限られる:日本政策金融公庫の融資先が対象で、全国のすべての企業ではない
- 初期の廃業を含まない:開業年末の第1回調査に回答した企業が母数のため、ごく初期に廃業した企業は数えられていない
- コロナ禍の年を含む:5年目にあたる2020年は、資金繰り支援などの影響を受けた特殊な年だった
低いのは「飲食店、宿泊業」85.3%、「小売業」86.8%、「不動産業」87.9%。
高いのは「建設業」94.8%、「個人向けサービス業」94.2%でした。
「会社は5年で半分以上潰れる」は本当?
この調査の範囲では、本当ではありません。
5年後も事業を続けていたのは89.7%で、半分以上が潰れるという説を裏づける公的なデータは見当たりません。
開業2年目末の廃業は2.2%、3年目末が4.7%、4年目末が7.0%、5年目末が8.9%。
増加幅は2.2ポイント、2.5ポイント、2.3ポイント、1.9ポイントで、特定の年に集中して廃業が起きているわけではありません。
ただし、開業した年によって結果は動きます。
同じ調査の過去の対象では、5年目の廃業率が15.4%、15.2%、10.2%だった年もありました。
今回の8.9%は過去と比べて低い水準で、コロナ禍における各種の資金繰り支援が廃業のペースを抑えた可能性が指摘されています。
「半分以上潰れる」という数字は、母集団の違う調査や、企業ではなく店舗単位の統計が混ざって広まったと考えられます。
数字を見るときは、何を母数にして、どの期間を測ったのかを確認してください。
10年後まで残る会社はどれくらい?

10年後の生存率を業界別に比較できる公的な統計は、見当たりませんでした。
2024年から2026年までの中小企業白書・小規模企業白書の本文と付属統計資料を確認しましたが、業種別の10年生存率を掲載した図表はありません(2026年9月時点)。
年間廃業率を10年分積み上げれば推計はできますが、創業年数を問わない全事業所の断面なので、累積すると実態から離れます。
10年単位の傾向を知りたい場合は、年間廃業率の高低(1章目の表)と創業5年時点の傾向(前章の表)を重ねて判断するのが現実的です。
どちらでも下位に入る業種は、長期でも厳しい可能性が高いと読めます。
法人だけを対象にした統計と、店舗単位で閉店を数えた調査では、同じ「10年後」でも結果が変わります。
「会社は10年で9割潰れる」は本当?
裏づけとなる公的統計は確認できませんでした。
前章のとおり創業5年の時点で約9割が残っていることを踏まえると、その5年後に9割が消えるという水準は整合しません。
この説が広まった背景には、母集団の違う数字の混在があると考えられます。
新規性の高い事業に取り組むベンチャー企業だけを追った調査、個人事業や店舗を対象にした調査、廃業ではなく特定の成果(上場や売却)に至らなかった割合を示した数字などが、「会社」という言葉でひとまとめに語られている状況です。
出典と調査年、そして母数が示されていない生存率の数字は、そのまま信用しないでください。
廃業率が高い業界は、開業率も高い

年間廃業率が高い業種は、年間開業率も高くなります。
「宿泊業,飲食サービス業」は年間廃業率4.7%に対して年間開業率11.2%で、退出の2倍以上の参入が起きています。
廃業率の高さは、この業界の縮小ではなく入れ替わりの速さを示しています。
開業率11.2%は全17業種で突出した数字で、2位の「生活関連サービス業,娯楽業」6.2%の約1.8倍にあたります。
開業率と廃業率を組み合わせると、業界の性格は4つに分かれます。
全産業の平均(開業率4.4%・廃業率3.1%)を境界にして、17業種を4つに分けると次のようになります。
| タイプ | 該当する業種 |
|---|---|
| 減りやすい 開業率 低 × 廃業率 高 | 小売業/金融業,保険業 |
| 入れ替わりが激しい 開業率 高 × 廃業率 高 | 宿泊業,飲食サービス業/生活関連サービス業,娯楽業/情報通信業 ほか3業種 |
| 動きが少ない 開業率 低 × 廃業率 低 | 医療,福祉/製造業/運輸業,郵便業 ほか4業種 |
| 増えやすい 開業率 高 × 廃業率 低 | 電気・ガス・熱供給・水道業/教育,学習支援業 |
小売業は退出が多いのに参入が追いついていない
年間廃業率3.7%は全体の3位ですが、年間開業率4.2%は平均の4.4%を下回り、事業所数が減る方向にあります。
逆に「製造業」は年間廃業率2.6%と低い水準ですが、年間開業率1.5%はさらに低くなっています。
既存の企業が長く残り、新規参入は少ない構造です。
年間廃業率と5年生存率では順位が入れ替わる
同じ業種でも、年間廃業率と5年生存率では評価が逆になることがあります。
「情報通信業」は年間廃業率では4位(3.6%)と高めですが、5年生存率は92.3%で全体の89.7%を上回ります。
反対に「教育,学習支援業」は年間廃業率が2.5%と低い一方、5年生存率は88.2%で全体を下回りました。
年間廃業率は創業年数を問わない全事業所の断面で、長く続いている事業所も母数に含まれます。
5年生存率は、創業直後という最も不安定な時期だけを切り取った数字です。
同じ業界でも、創業期に厳しいのか、長く続けるうえで厳しいのかは別の話になります。
企業の入れ替わりが速い業界ほど、手元の企業情報は早く古くなります。
年間廃業率4.7%の業界であれば、1,000件のリストから1年で約47件が該当しなくなる計算です。
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業界別の廃業率に関するよくある質問

飲食店は5年で何%閉店する?
2016年に開業した企業を追った調査では、「飲食店、宿泊業」の5年廃業率は14.7%でした。
5年生存率にすると85.3%です。
全体の8.9%と比べると高く、調査対象の12業種で最も廃業率が高い区分でした。
「3年で7割」「5年で9割」といった数字も見かけますが、出典と母数をたどれるものは確認できていません。
対象範囲が示された数字で判断してください。
IT企業の廃業率は高い?
見る指標によって答えが変わります。
情報通信業の年間廃業率は3.6%で、全産業の3.1%より高い水準です。
ただし年間開業率は5.7%あり、廃業を上回る参入が起きています。
さらに5年生存率で見ると92.3%で、全体の89.7%より良い結果でした。
年単位では入れ替わりが活発でも、創業5年を乗り切る割合は平均より高い業種です。
ラーメン屋の廃業率は?
ラーメン店に限定した廃業率という統計は公表されていません。
母数となる店舗の総数が公的に把握されていないため、率を算出できないためです。
公表されているのは倒産件数だけで、2025年は59件でした。
前年の79件から25.3%減少し、4年ぶりに前年を下回っています。
一方で市場規模は拡大しています。
2025年度のラーメン店市場は8,855億円の見込みで、10年前の2015年度から63.4%増え、過去最高を更新しました。
ただし純損益の合計は前年度の356億円から171億円へとほぼ半減しています。
市場は伸びていて倒産件数は減っているのに、収益性は落ちている。
「倒産件数」と「廃業率」と「市場規模」は、それぞれ別のことを示しています。
(出典:「ラーメン店」の倒産動向(2025年)/帝国データバンク https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260110-ramen25y/、全国「ラーメン店」市場動向調査(2025年度)/帝国データバンク https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260701-ramen25fy/)
個人事業主と法人では廃業率は違う?
統計の対象が異なるため、単純な比較はできません。
この記事で使っている年間廃業率は雇用保険の適用事業所を母数にしているため、従業員を雇っていない個人事業主は把握できない仕組みです。
法人と個人を含めた数字が必要なら、経済センサスなど別の統計を確認する必要があります。
起業して1年後の廃業率は?
2016年に開業した企業では、翌2017年末までに廃業したのは2.2%でした。
存続していたのは97.5%です。
その後は3年目末が4.7%、4年目末が7.0%、5年目末が8.9%と積み上がります。
増加幅は年あたり1.9〜2.5ポイントで、ほぼ一定のペースです。
ただしこの調査は、開業年末の第1回調査に回答した企業が母数です。
開業して間もなく事業をやめた企業は含まれていない点に注意してください。
【まとめ】日本の廃業率は年3.7%、業界による差は最大4.7倍
日本の年間廃業率は3.7%(2024年度)で、業種別では宿泊業・飲食サービス業の4.7%から複合サービス事業の1.0%まで、最大4.7倍の差があります。
この記事で確認した5つの数字
- 全産業の年間廃業率は3.7%(2024年度)
- 業種別では宿泊業,飲食サービス業の4.7%が最も高く、複合サービス事業の1.0%が最も低い(2021年度)。その差は約4.7倍
- 2016年に開業した企業の5年生存率は89.7%。業種別では建設業94.8%から飲食店、宿泊業85.3%まで約10ポイントの幅がある
- 休廃業・解散した企業の9割超は小規模事業者で、2024年は51.1%が黒字だった
- 業界別の10年生存率を比較できる公的統計は確認できなかった
最も大事なのは、「年間廃業率」と「5年生存率」は別の指標だという点です。
前者は1年間の断面、後者は創業した企業を追いかけた累積で、順位が入れ替わる業種もあります。
ネット上で見かける生存率の数字は、出典と調査年と母数を確認してから使ってください。
また、廃業率が高い業界は開業率も高くなります。
数字の高さをそのまま「衰退」と読まず、開業率や市場規模と合わせて判断してください。
企業としてこうしたデータを実務で使うなら、廃業や移転を反映した最新の企業情報が前提になります。
