CRMとは、顧客の情報と、顧客とのやりとりの履歴を会社で一元管理し、関係を深めて売上につなげる考え方と、そのためのツールです。
営業・マーケティング・サポートが同じ顧客の記録を見られるようになり、既存顧客への提案や担当の引き継ぎがしやすくなります。
この記事のポイント
- CRMは顧客の情報とやりとりの履歴を会社で一元管理する仕組み
- 商談を管理するSFAと違い、受注後の顧客まで記録し続ける
- 同じ顧客に2人以上が関わるなら、規模を問わず導入を検討する
CRMとは

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客関係管理」、読み方は「シーアールエム」です。
顧客との関係を管理する経営の考え方と、それを実行するためのツールの両方を指します。
取引先の企業を管理するBtoBでも、会員や来店客を管理するBtoCでも、考え方は同じです。
SFA・MAとの違い
CRM・SFA・MAは、顧客とのつきあいのどの段階を受け持つかで分かれます。
| 名前 | ひとことで | 資料請求から契約更新までの役割 |
|---|---|---|
| MA(マーケティングオートメーション) | 見込み客の育成係 | 資料を請求した人にメールを送り、関心が高まった人を営業に渡す |
| SFA(営業支援システム) | 商談の進捗表 | 渡された相手との商談を、提案・見積もり・受注まで進める |
| CRM | 顧客の台帳 | 受注後も含めたやりとりを残し、更新・追加提案・問い合わせ対応に使う |
SFAは商談1件を1つの記録として持ち、商談が終わると記録が閉じますが、CRMは顧客1社を1つの記録として持ち、受注後の問い合わせや契約更新まで記録が続きます。
実際の製品は2つ以上の役割を併せ持つものが多いため、製品を比べるときは名前ではなく、どのデータを誰がいつ入力する製品なのかを見ます。
CRMの主な機能

CRMの主な機能は、顧客の情報を記録する、条件で分けて分析する、選んだ相手に届けるの3系統に分かれます。
| 系統 | 機能 | 何ができるか |
|---|---|---|
| 記録する | 顧客情報の管理 | 顧客ごとの属性を1件にまとめ、全員が同じ1件を見る |
| 記録する | 商談・対応履歴の管理 | 誰がいつ何を話したかを顧客の1件に残す |
| 分析する | 顧客の分析 | 条件で顧客を絞り、次に連絡する相手を決める |
| 届ける | メール配信などのマーケティング支援 | 絞った相手にメールを送り、反応を記録する |
| 届ける | 問い合わせ管理 | 顧客から来た質問や要望を、対応の状況とともに残す |
製品によって呼び方は違いますが、多くのCRMはこの5つを中心に組み立てられています。
顧客情報の管理
顧客情報の管理は、社名・担当者・連絡先・業種・規模といった属性を顧客ごとに1件にまとめ、全員が同じ1件を見る機能です。
名刺の読み取り、問い合わせフォームからの自動登録、CSVファイルの取り込みなどで情報が入ります。
担当者の電話番号が変わったら、1人が直せば全員の画面が同時に新しい番号になります。
同じ会社が「株式会社ABC」と「ABC株式会社」のように別の表記で2件登録されると履歴が割れるため、登録時に重複を知らせる機能も備わっています。
商談・対応履歴の管理
商談・対応履歴の管理は、誰が・いつ・誰と・何を話したかを、やりとり1回ごとに顧客の記録へ残す機能です。
電話・訪問・メール・オンライン会議の内容と、次に何をいつ約束したかを記録します。
担当者が替わっても、後任は前回の提案内容と次の約束を読んでから連絡できます。
商談の記録では、案件ごとに金額・受注の見込み・進み具合を持たせ、一覧で並べて見ます。
顧客の分析
顧客の分析は、業種・規模・購入回数・最後に連絡した日などの条件で顧客を絞り込み、次に誰に何をするかを決める機能です。
条件は、絞ったあとの行動とセットで決めておくと使えます。
絞り込みの条件と次の行動の例4つ
- 最後の連絡から90日以上:担当者がフォローの電話をかける
- 年2回以上購入:上位プランや関連商品を提案する
- 契約の更新まで3か月:更新の案内を送る
- 問い合わせ後に商談なし:営業が連絡して商談を作る
売上や商談数をグラフにするレポート機能も、多くの製品に入っています。
新規開拓の営業リストでも条件での絞り込みは効き、たとえば弊社のSTREAM Xでは、オーダーメイドの依頼で携帯電話の番号の会社だけに絞ったリストも作れます。
弊社の新規開拓の架電実績では、電話番号が携帯電話の会社は、決裁者と話せた割合が全体の2.5倍でした。
(出典:弊社の独自調査。ある法人向け商材の新規開拓で、新しく作った営業リスト6,475社に架電した実績を集計(2026年8月25日〜10月7日、架電7,586回)。電話番号が携帯電話の会社247社で決裁者と話せた割合は11.7%、全体は4.8%。架電に使ったリストはSTREAM Xのリストに限らない。決裁者と話せた会社は、期間中に一度でも、決裁者に断られた・見込みあり・アポのいずれかになった会社)
メール配信などのマーケティング支援
マーケティング支援は、絞り込んだ相手にメールを送り、開封やクリックといった反応を顧客ごとの記録に戻す機能です。
反応が顧客ごとに残るので、関心を示した相手から先に営業が連絡できます。
製品によっては、アンケートの配信や、Webサイトの問い合わせフォームの作成もここに含まれます。
問い合わせ管理
問い合わせ管理は、窓口に来た質問や要望を顧客の記録に結びつけ、誰が対応中か・解決したかを管理する機能です。
電話やメールで届いた問い合わせが、その顧客の購入や商談の履歴と同じ画面に並びます。
サポートの担当者は過去の購入内容を見ながら答えられ、営業は顧客が問い合わせてきたことを知ったうえで連絡できます。
既存顧客の属性から、新規の営業先を絞り込める
CRMにたまった受注顧客の業種・規模・地域を集計すると、自社の商材が売れやすい会社の条件が分かり、新規開拓の営業リストを同じ条件で絞り込めます。
電話営業では、どんな会社に架けるかで、決裁者と話せる割合が大きく違います。
弊社が新規開拓の電話営業で架けた会社では、従業員1〜9人の会社で決裁者と話せた割合が全体の2.3倍でした。
| 会社の条件 | 決裁者と話せた割合 |
|---|---|
| 架電した会社全体 | 4.8% |
| 有限会社 | 12.3% |
| 従業員1〜9人 | 10.9% |
数字は商材によって変わるため、絞り込みの条件は、自社の受注顧客の属性から決めます。
弊社のSTREAM Xでは、オーダーメイドの依頼で、受注顧客と同じ条件(業種・地域・従業員数など)に絞った営業リストを作れます。
(出典:弊社の独自調査。ある法人向け商材の新規開拓で、新しく作った営業リスト6,475社に架電した実績を集計(2026年8月25日〜10月7日、架電7,586回)。決裁者と話せた会社は、期間中に一度でも、決裁者に断られた・見込みあり・アポのいずれかになった会社)
CRMを導入するメリット

CRMを導入するメリットは、顧客について判断する材料が担当者の記憶から会社の記録に移ることから生まれます。
顧客情報が一元化され属人化が解消する
CRMを入れると、担当者の手元に散らばっていた顧客とのやりとりが、会社の記録として1か所に残ります。
CRMがない会社では、やりとりが担当者のメールボックスや手帳、個人の表計算ファイルに分かれています。
担当者が辞めると、後任は顧客に同じことを聞き直し、顧客は同じ説明を繰り返すことになります。
CRMに残っていれば、後任は前回の提案内容・値引きの条件・次回の約束を読んでから連絡できます。
既存顧客の売上が伸びる
CRMに購入後の履歴が残ると、追加の提案・契約の更新・解約の兆しに、時期を逃さず手を打てます。
購入から1年たった顧客に消耗品の補充を案内する、問い合わせが急に増えた顧客に担当者が様子を聞きに行く、といった動きが一覧から始められます。
1人の顧客が取引を続けるあいだにもたらす売上の合計をLTV(顧客生涯価値)と呼び、CRMはこのLTVを積み上げるための道具です。
部署間で連携できる
営業・カスタマーサポート・マーケティングが別々に持っていた同じ顧客の情報が、1件の記録にまとまります。
サポートに来たばかりの苦情を知らないまま、営業が追加提案の電話をかける、という事故が防げます。
マーケティングは、すでに契約している顧客に新規向けの割引メールを送らずに済みます。
顧客満足度が上がる
顧客から見ると、誰に問い合わせても自分のことを分かったうえで答えてもらえる状態になります。
電話をかけた相手が前回の購入内容と問い合わせの経緯を見ながら話すので、名前や注文番号から説明し直す必要がありません。
興味のない商品の案内が届かなくなり、必要な時期に必要な案内だけが届くようになります。
CRMを導入するデメリット

CRMのデメリットは、記録を入れる手間と費用が先にかかり、効果が出るのは記録がたまってからという点にあります。
入力の手間が現場にかかる
CRMの記録は担当者が入れるため、入力する項目と使う機能を絞る必要があります。
SFA(商談を管理する営業支援システム)への入力が遅れる理由では、「入力項目が多すぎる」を38.5%が挙げ、2番目に多くなっています(SFA・CRM・BIツールを導入済みの企業の営業部門1,034名への調査)。
顧客とのやりとりを毎日入れる点はCRMも同じで、使う機能を増やすほど入力する画面と項目が増えます。
最初に使う機能は、顧客情報・対応履歴・分析の3つ前後に絞り、現場で使われた機能から足していきます。
(出典:「営業部門におけるSFA・CRM・BIツールの課題と今後の活用展望」に関する調査/株式会社キーウォーカー。2025年10月8〜10日、インターネット調査、SFA・CRM・BIツール導入済み企業の営業部門の担当者・管理職1,034名。入力が遅れる理由は、毎回すぐ入力していると答えた人以外が対象 https://www.keywalker.co.jp/news/tableau-2025-1111.html)
費用がかかる
CRMはツールの利用料に加えて社内の作業にも費用がかかるため、導入前に年間の総額を見積もる必要があります。
多くの製品は1ユーザーごとの月額で、使う人数が増えるほど利用料が上がります。
利用料のほかに、初期設定、既存データの移行、入力のルール作り、担当者への説明といった社内の作業時間がかかります。
見積もりは、利用料の年額と、導入の最初の3か月にかかる社内の作業時間を並べて出します。
定着まで時間がかかる
CRMの効果は記録がたまってから出るため、入力が習慣になるまでの数か月を見込み、入力の目的を先に伝える必要があります。
営業活動のあと毎回すぐにSFAへ入力している人は半数に届かず、入力が習慣になるまでには時間がかかります(SFA・CRM・BIツールを導入済みの企業の営業部門1,034名への調査)。
同じ調査で入力のやる気が高まる条件として最も多かったのは、「入力の目的やデータの使い道が明確」54.8%です。
操作の研修だけで終えず、入れた記録が誰の何の判断に使われるかを、導入の最初に説明します。
(出典:「営業部門におけるSFA・CRM・BIツールの課題と今後の活用展望」に関する調査/株式会社キーウォーカー。2025年10月8〜10日、インターネット調査、1,034名。入力のタイミングはSFAへの入力についての設問、やる気が高まる条件はSFA・CRM・BIツール全般についての設問 https://www.keywalker.co.jp/news/tableau-2025-1111.html)
CRMの導入事例

CRMに入れる営業リストを替えたり、顧客の記録を1か所にまとめたりした会社では、アポ率や残業時間に変化が出たと公表されています。
営業リストを替えてアポ率18.4倍、リスト作成の工数は82%減
営業代行会社のR社は、架電に使う営業リストを自社で作ったものから「STREAM X」のリストに替え、アポ率が18.4倍(0.22%から4.05%)になったと公表しています。
あわせて、リストを作る工数が82%減ったことも公表しています。
架電件数で見ると、自社で作ったリストでは1,345件でアポ3件、STREAM Xのリストでは247件でアポ10件でした。
比べた期間や商材は公表されていないため、この差をリストを替えたことだけの効果とは判断できません。
(出典:STREAM X公式LP「実際の比較データ」「導入企業の声」/株式会社STREAM https://stream-data.co.jp/lp/expo)
事業ごとの顧客管理をまとめて残業時間を約6割削減
不動産売買のSAKAI株式会社(従業員66名)は、事業ごとに別々だった顧客管理をZoho CRMにまとめ、残業時間を最も長かったときから約6割削減したと公表しています。
導入前は、新築事業は工務店向けの顧客管理ソフト、リフォーム事業は宛名印刷ソフト、不動産事業は紙で、顧客の情報を管理していました。
2016年にZoho CRMを入れ、2017年から本格的に使い始めています。
削減の比べ方は「最も長かった残業時間から」で、期間は公表されていません。
(出典:Zoho CRM 導入事例「SAKAI株式会社」/ゾーホージャパン株式会社 https://www.zoho.com/jp/crm/customers/sakai.html 2026年10月8日確認)
日報と商談を顧客ごとにまとめ、生産性が上がったと感じる社員が2%から14%に
焼酎メーカーの霧島酒造株式会社は、日報・商談・販促企画の情報をSalesforceのSales Cloudにまとめ、「営業活動の生産性が向上した」と感じる層が2%から14%に増えたと公表しています。
導入前は日報ツール・Excel・承認申請のツールに情報が分かれ、記録が担当者ごとにまとまっていたため、顧客ごとに見ることができませんでした。
数字は稼働から約3か月の時点の社内アンケートで、稼働当初と比べたものです。
(出典:Salesforce 導入事例「霧島酒造株式会社」/株式会社セールスフォース・ジャパン https://www.salesforce.com/jp/customer-stories/kirishima/ 2026年10月8日確認)
CRMの選び方

CRMは機能の数ではなく、自社の目的に合い、現場が毎日入力し続けられるかで選びます。
導入の目的と使う人
CRMは、誰が何のために使うかで、合うタイプが汎用型・業種特化型・SFA一体型に分かれます。
| タイプ | 向く会社 | 製品の例 |
|---|---|---|
| 汎用型 | 業種を問わず、項目を自社で決めたい会社 | HubSpot Smart CRM |
| 業種特化型 | 物件・予約・会員など、業種特有の管理が要る会社 | 不動産向けのいえらぶCLOUD、美容サロン向けのSALON BOARD |
| SFA一体型 | 商談の管理も同じ画面で行いたい営業組織 | Agentforce Sales、Zoho CRM、eセールスマネージャー |
製品の例は代表的なものを挙げたもので、順位や評価ではありません。
営業担当が商談の管理に使うならSFA一体型、店舗で会員や予約を管理するなら業種特化型、というように、使う人の毎日の仕事から決めます。
(出典:HubSpot Smart CRM https://www.hubspot.jp/products/crm いえらぶCLOUD 顧客管理 https://ielove-cloud.jp/service/crm/ SALON BOARD https://salonboard.com/ Agentforce Sales https://www.salesforce.com/jp/sales/ Zoho CRM https://www.zoho.com/jp/crm/ eセールスマネージャー https://www.e-sales.jp/ いずれも各社公式サイト、2026年9月25日確認)
必要な機能
機能は、「なければ困る機能」と「あれば便利な機能」に分けてから製品を比べます。
顧客情報と対応履歴の管理はどの製品にもあるので、差が出るのは分析の細かさ、メール配信の件数、問い合わせ管理の有無といった部分です。
「あれば便利」の機能が多い製品ほど画面と料金が重くなるため、なければ困る機能を満たす中で最も簡素な製品から試します。
現場での使いやすさ
営業担当が外出先で入力しにくい製品は、会社に戻ってからのまとめ入力になり、記録が遅れ、抜けます。
SFAへの入力が遅れる理由でも、「モバイルで入力しづらい」が30.7%で3番目に多くなっています(SFA・CRM・BIツールを導入済みの企業の営業部門1,034名への調査)。
試用期間には、実際の担当者に1日分の商談の記録をスマートフォンで入れてもらい、次の3つを確かめます。
試用期間に確かめること3つ
- 1件の入力にかかる時間:商談1回の記録が何分で終わるか
- スマートフォンでの操作:移動中に項目を選ぶだけで記録できるか
- 自動で入る情報:メールや予定表のやりとりが手入力なしで履歴に残るか
デモを見せるのは販売する側の担当者なので、入力する本人に触ってもらうまで判断しません。
(出典:「営業部門におけるSFA・CRM・BIツールの課題と今後の活用展望」に関する調査/株式会社キーウォーカー。2025年10月8〜10日、インターネット調査、1,034名 https://www.keywalker.co.jp/news/tableau-2025-1111.html)
既存のデータ・ツールとの連携
連携で確かめるのは、今ある顧客データを取り込めるかと、毎日使っているツールとつなげるかの2点です。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| ファイルの取り込み | CSVやExcelを読み込めるか、1回に取り込める件数の上限 |
| 過去の履歴 | 商談やメールを日付つきで移せるか |
| 重複の検出 | 取り込むときに同じ会社・同じ人を見つけて知らせるか |
| メール・予定表 | 送受信したメールや会議の予定が自動で履歴に入るか |
| ほかのシステム | 名刺管理・MA・会計・販売管理のシステムとつなげるか |
製品によっては顧客の属性しか取り込めず、過去のやりとりは移せないことがあります。
移せない履歴は、元のファイルを参照用に残しておきます。
料金
CRMの料金は1ユーザーあたりの月額で決まる製品が多いため、「月額×人数×12か月」に初期費用を足した年額で比べます。
たとえば月額3,000円の製品を10人で使えば、利用料だけで年間36万円です。
初期設定の支援、データの移行、電話でのサポート、保存容量の追加は、月額と別に料金がかかることがあります。
年契約だけの製品もあるので、無料の試用期間や、数か月だけの契約ができるかも確かめます。
CRMの導入手順

CRMの導入は、目的を決める、現状を洗い出す、製品を決める、データを整えて移す、1部門で始めて広げるの5つのステップで進めます。
ステップ1 目的と、見たい数字を決める
導入の最初に、CRMを見て下す判断を1つと、その判断に使う数字を1つ決めます。
「顧客情報を一元管理する」は手段で、目的になりません。
「解約しそうな顧客を毎月見つけて、担当者が連絡する」のように、誰が何を判断するかまで書きます。
この例なら、見る数字は「90日以上連絡していない契約中の顧客の数」です。
目的が3つも4つもあると、入れる項目が決まらず、設定が膨らみます。
ステップ2 現状の業務とデータを洗い出す
現状の洗い出しでは、誰が、どこに、どの顧客情報を持っているかを一覧にします。
営業担当の表計算ファイル、名刺の束、問い合わせフォームの受信メール、販売管理システムといった置き場所ごとに、件数と項目を書き出します。
あわせて、導入を進める担当者、現場の代表、情報システム部門の担当者の3者で体制を決めます。
個人の顧客情報を扱うなら、集めたときに示した利用目的の範囲でCRMに入れて使えるかも、ここで確かめます。
ステップ3 試用して製品を決める
製品は、候補を2〜3に絞ったうえで、現場の担当者に2週間ほど実際の顧客で入力してもらってから決めます。
試用の最後に、担当者に「このまま毎日入れられるか」を聞き、入れられないと答えた製品は外します。
製品が決まったら、入れる項目、商談の段階の区切り、誰がどこまで見られるかを設定し、入力のルールとして文書にします。
商談の段階は「見積書を送った」「契約書を送った」のように、誰が見ても判定が同じになる出来事で区切ります。
ステップ4 既存データを整えてから移行する
移行の前に、表記の揺れ・重複・古い連絡先を直してからCRMに入れます。
国税庁に登録されている法人のうち13.37%は、登記がすでに閉鎖されており、名簿をそのまま取り込むと存在しない会社が混ざります(法人番号5,827,771件のうち779,161件)。
作業は次の順に進めます。
移行前にデータを整える手順3つ
- 表記をそろえる:「株式会社」の略し方、全角と半角、住所の番地の書き方を置換で統一する
- 重複をまとめる:社名と電話番号、または法人番号が同じ行を1件にまとめる
- 閉鎖した会社を外す:法人番号で照合し、登記が閉鎖された会社を除く
残したまま入れると、入れた直後から検索しても見つからない、集計が合わないという状態になり、直すのは移行前の1回が一番安く済みます。
(出典:国税庁「法人番号公表サイト」の公開データ(2026年9月6日時点)を弊社が集計。閉鎖には解散・清算結了、合併による消滅、みなし解散を含む https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)
ステップ5 1部門で始め、更新のルールを決めて広げる
CRMは全社で一斉に始めず、1つの部門で2〜3か月使い、使われなかった項目を削ってからほかの部門に広げます。
あわせて、ステップ1の数字を毎月見る場を作り、誰が・いつ・どの項目を見直すかを運用のルールに書きます。
CRMに入れた企業データは入れた日から古くなり、項目によって古くなる速さも違うため、見直しは動きやすい項目から担当と頻度を決めます。
| 項目 | データが更新されていた割合 |
|---|---|
| 従業員数 | 数%〜1割(媒体によって差が大きい) |
| 代表者名 | 0.94% |
| 電話番号 | 0.41% |
テレアポに使う場合、規模や担当者のデータが古いままだと、条件に合わない会社や前の担当者に電話をかけることになります。
STREAM Xでは、都道府県・業種などの条件で絞り込み、従業員数や代表者名などの項目をそろえたテレアポ用の営業リストを作れます。
(出典:弊社の独自調査。弊社のデータベースで、継続的に取得している求人媒体・掲載サイトのデータを2時点で比較(2026年4月〜10月の取得)。名称と住所が同じ会社・店に絞り、両方の時点に値が入っていたもの(2時点で突き合わせられた電話番号約92万件、代表者名約75万件、従業員数約13万件)。データが更新された事実であり、企業側が変更した件数を測ったものではありません)
CRMに関するよくある質問

エクセルの顧客管理と何が違う?
エクセルは1人で見るには手軽ですが、複数人で同時に直す、やりとりの履歴を残す、条件で絞った結果を全員で共有するの3点でCRMに劣ります。
共有のファイルを2人が同時に開くと、片方の変更が上書きされて消えることがあります。
1つのセルに履歴を書き足していく使い方では、いつ誰が何をしたかを並べ替えて探せません。
切り替えるかどうかは、顧客に触る人数と、やりとりの履歴を残す必要があるかで決めます。
無料のCRMでも足りる?
使う人数と顧客の数が少ないうちは足りますが、無料プランにはユーザー数や登録件数の上限があります。
HubSpotやZoho CRMには期限なしで使える無料プランがありますが、使える人数は2〜3名までに限られます(2026年9月25日時点の各社の料金表)。
営業担当が上限の人数を超える、登録したい顧客が上限の件数を超えるといった段階で、有料プランへの切り替えが必要になります。
無料プランで現場の入力が続くかを確かめてから、有料プランに移る使い方が向いています。
(出典:HubSpot「CRMの料金」 https://www.hubspot.jp/pricing/crm Zoho CRM「料金プラン」 https://www.zoho.com/jp/crm/zohocrm-pricing.html 2026年9月25日確認)
中小企業にもCRMは必要?
CRMが必要かどうかは会社の規模ではなく、同じ顧客に複数の人が関わるかどうかで決まります。
同じ顧客に営業とサポートなど2人以上が連絡する、担当の引き継ぎが起きる、顧客の前回の購入時期を記憶で答えられない、のどれかに当てはまれば、少人数の会社でも導入を検討する段階です。
顧客が数十社で、担当者1人が全員の状況を言えるうちは、共有の表計算ファイルでも困りません。
航空や医療の「CRM」は別物?
別物です。
航空のCRMは「Crew Resource Management」の略で、乗員が安全に運航するためのチームの資源の使い方を指します。
米国連邦航空局は、人・機材・情報という使えるすべての資源を有効に使うこと、と定義しています。
医療でも、この航空のチーム訓練を応用した「クルー・リソース・マネジメント」が、チーム医療の安全のための訓練として取り入れられています。
どちらも、顧客関係管理のCRMとは関係がありません。
(出典:FAA「Advisory Circular 120-51E Crew Resource Management Training」2004年1月22日 https://www.faa.gov/documentlibrary/media/advisory_circular/ac120-51e.pdf 石川雅彦「チーム医療訓練としてのCRM(クルー・リソース・マネジメント)」『病院管理』43巻4号、2006年 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902214928391940)
CRM担当は何をする職種?
CRM担当は、ツールの操作係ではなく、入力のルールと項目を決め、集まった数字を営業やサポートの動きに戻す役割です。
具体的には、項目の追加と削除、入力の手引きの更新、毎月のレポート作成、データの重複や古い情報の整理を受け持ちます。
専任を置かず、営業企画やマーケティングの担当者が兼務で始める会社も少なくありません。
【まとめ】CRMは顧客との関係を会社の記録で育てる仕組み
CRMは顧客の情報とやりとりの履歴を会社の記録として一元管理し、既存顧客との関係を深めて売上につなげる考え方とツールです。
読み終えたら始める3つのこと
- 目的を1つ決める:CRMで下す判断と、毎月見る数字を1つ書き出す
- 今のデータを数える:顧客のファイルで同じ会社が何件重なっているかを数える
- 本人に試してもらう:候補の製品に、担当者が1日分の商談をスマートフォンで入れる
新しく営業リストを用意してCRMに入れるなら、業種・規模・地域で絞った最新の企業データから始めると、移行前の整備が軽く済みます。
STREAM Xでは、条件を指定した営業リストを無料のデモ登録で3,000件まで試せます。
